PEST分析の意味、活用方法
「PEST分析」とは、マクロ環境で分析を行うマーケティングフレームワークのことです。
「PEST分析」の言葉の由来は「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの頭文字で、ビジネスをとりまく環境を総合的に見て戦略を決めていく、という視点を持っていきます。
なぜ「PEST分析」という手法が必要になるかというと、ビジネスをしていく場合にはその製品やサービスそのものの良さだけで事業計画がうまくいくわけではないからです。
極端な言い方をすれば、それぞれのサービスそのものよりも周辺の環境がどういった状況になっているかの方が、ビジネスの将来性を左右することになることもあります。
そこで企業コンサルティングをしていく時には、社内環境の整備をしていくとともにPEST分析によりマクロ視点をもって戦略を立てるという2つの側面が必要になってくるのです。
ただ、PEST分析におけるマクロ視点というのは簡単に予測をしていくことができにくいものなので、まずは3~5年程度の短期的な予測をもとにして、そこから将来の仮説を立てていくようにします。
ポイントとなるのは、上記の4つは全く別のことではなく、それぞれ深いかかわりを持っているということです。
例えば「Politics(政治)」と「Technology(技術)」は、政府による規制緩和により新しい技術が一般に使用されるようになったり、新規参入をすることができるようになったりします。
特に近年では規制緩和が頻繁に行われるようになっているということから、それまではレッドオーシャン分野であった業界がいきなりブルーオーシャンになる、ということも有り得るでしょう。
具体的な事例
PEST分析をしていく上で最も大切なのが、今後社会がどういった変化をしていくかの予測です。
先に述べたような政治的な規制緩和などが最もわかりやすい例ですが、他にも新規技術の開発が日本以外の国で行われるようになることで、市場に大きな変化が現れる事例があります。
この分析ではこれから伸びる分野だけでなく、これから縮小していく分野についても考えていかなければいけません。
わかりやすい例としては、インターネットの普及と手紙・電話の関係や、電子書籍の普及と印刷業界の関係といったところがあります。
操業歴の長い中小企業などでは、何十年も業務の柱としてきた主力事業があることと思いますが、そうしたものが今後ずっと主力であり続けるということはまずありません。
コンサルティングをしていく上では、そうした安定的な事業についても危険性を指摘し、どういった方法で回避ができるかということを考える必要があるでしょう。
そうしたマクロの社会変化に適応できなかったために縮小した業界としては、フィルムカメラ業界などがあります。
いち早く多角経営に乗り出した富士フィルムと、写真事業にこだわったコダックでは大きな差がついてしまいました。