バリューチェーン分析の意味、活用方法
「バリューチェーン(Value Chain)」とは、経営資格であるMBAで使用されている事業活動を機能ごとに分類して、付加価値を生み出す分析のことです。
どんな事業を行っていく場合にも必ず競合相手が存在しているので、そうしたライバル会社と比較して、どういったところに強みと弱みがあるかを細かく分析していくことがスタートとなります。
強みと弱みがわかるとそこからどういった付加価値を生み出せるかが分かるので、その後の戦略が立てやすくなります。
この分析においては、部品の原材料の調達方法や製造過程、出荷・流通の方法、さらにそれらの販売をしたときの利益率といったことを総合的に数値として、そこからどこに一番の特徴があるかということを考えていくのです。
用語である「Value(価値)」「Chain(連鎖)」は、そうした企業活動を連結して考えたときに生まれる強みと弱みを明らかにする、というところから来ています。
それぞれの過程における課題を洗い出し、それらを改善していくことにより、ほかの競合他社と差別化をした効率のよい価値創造をしていけるようになるということです。
バリューチェーンの概念では、いわゆる原価率に含まれる材料費や製造費、出荷運送費といったものだけでなく、企業活動を行うときに必要になる支援活動が含まれることも特徴です。
支援活動というのは「間接部門」と言われる企業活動の一部のことで、人事や労務管理、技術開発、その他総務や経理といった部分も含まれてきます。
利益を直接的に生み出す主活動だけを注目していると、企業活動全体にかかるコストの計算を正しく行うことができなくなるので、必ず企業内会計全体を見るようにすることが重要になってくるのです。
具体的な事例
バリューチェーン分析を最もうまく活かした企業活動をしている企業として、スターバックスコーヒーがあります。
スタバといえば誰でも知っている有名な企業ですが、現在では他にもたくさんのチェーン系カフェが参入してきたことにより、決して安定的な営業状態にあるというわけではありません。
しかしスターバックスコーヒーをバリューチェーン分析してみると、「仕入れ」と「サービス」の二点が他店を引き離す大きな利点を持っています。
スターバックスコーヒーで提供されている豆は独自の仕入れルートによるものであり、一般に仕入れるコーヒー豆よりも優位な状況です。
またサービス面に関しては独自の研修やバリスタ制の導入といったように、スタッフが自由に勤務ができる体制が整えられています。
そのため利用をする顧客は、豆のおいしさとほかにはないサービスを求めてスタバを利用するという構図が出来上がっているのです。
バリューチェーン分析がおすすめなのは、市場に同じような競合他社がいる場合です。
バリューチェーン分析を用いてどこで勝負をかけるかという経営判断ができることにより、差別化された独自の営業をしていくことができると言えるでしょう。